看護師は常に人手不足で、多くの医療現場では看護師の加重労働が問題になっています。特に、夜勤など不規則勤務が避けられない病棟などで働く看護師は疲労困憊しており、有給休暇を使った疲労回復が欠かせません。ところが、患者に対応する看護師が不足すると診療に支障をきたすといった理由を挙げて、医療機関がなかなか有給休暇の取得を認めてくれないというケースも珍しくありません。看護師も医療現場の実態を理解しているので、有給休暇を申請しにくいという事情もあるでしょう。しかし、看護師が有給休暇を申請したのに、管理職がこれを認めないということは、労基法違反の違法行為です。そもそも、有給休暇は労働者が個人の都合により自由に取得できるものであり、管理職が有給休暇の理由を尋ねることすら認められていません。多数の看護師が同時期に有給休暇を申し出るなど、事実上医療機関の運営に支障をきたすような特殊なケースでない限り、管理職は申請された有給休暇を認めなければならないのです。したがって、有給休暇の取得を拒まれた看護師は、労働局や労働基準監督署に相談して、仲裁してもらうことが可能です。労働局は、有給休暇を拒否した医療機関に対して、有給休暇の取得を認めるよう指導してくれるでしょう。労働局の指導に強制力がないため、管理職側は指導に従わないこともありますが、その場合は、労働審判という簡単な司法手続きで審理をあおぐこともできます。医療機関が労働局の指導に従わず、労働審判になった場合、指導への不服従が管理職側に不利な要素となります。「休む権利があるのにもかかわらず休ませてもらえない。」そんな、有給休暇が取れずに悩んでいる方は、早めに行動に移し対処することをおすすめします。