有給休暇は働く人すべてに与えられた正当な権利であり、心身を健やかに保つうえでも欠かせないものです。しかし、人手不足に悩む看護現場では、休みを言い出しにくい無言の同調圧力があるケースがよく見られます。周囲が忙しい中、自分だけが休むことに罪悪感を植え付けるようなピリついた環境は、スタッフのモチベーションも低下させるものです。こうした問題が生じる背景には、先輩たちが築いてきた古い価値観が影響しています。一昔前の日本は、働き手の権利が弱かったこともあり、「昔は休まないのが当たり前だった」という意識を持っている人も存在します。こうした先輩がいれば、立場の弱い後輩は休みの権利を主張しづらくなるのは当然です。そんな現場であれば、先輩たちが率先して有給休暇を取得しない限り、組織の体制を変えることは難しくなります。そんな古い体制が残っていることで、有休を申請した人を、冷ややかな目や、言葉で追い詰めるようなハラスメントも起きています。最悪、休み明けに冷たい態度を取る嫌がらせに発展する事例も聞かれます。周囲から白い目で見られたり、休む理由を問い詰められたりする環境では、誰もが申請をためらうようになるでしょう。本来、誰もが自由に休める体制を整えることは組織の責務です。個人の犠牲の上に成り立つ医療現場は健全ではなく、スタッフが安心して休める環境こそが、結果として質の高い看護につながるのです。組織全体で同調圧力を払拭し、それぞれが誰かの休みを気持ちよく支え合える柔軟な職場文化へのアップデートが今まさに求められています。